SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「日本三大勢力のうちの二つなんだ。一コは低迷してっけど、裏社会は主にこの三つの組織が牛耳ってる」


……?


「ごめん。わからない」


「……そっか……」


「まあ、面倒見の癒着が強いのは覇鬼の方で……」


「扇龍は奏太だけが大熊組にスカウト受けてるだけだから、あんま強く関わりねえけど……」


「それでも均衡は保たれてたんだ、それなのに……」


「……?」


「覇鬼の親玉、山川組の次男坊が……オレらとたいして年変わんねーんスけど……」


「なにトチ狂ったのかいきなり奇襲かけてきて」


「酒に酔ってたのか、扇龍と分からなかったのか、そこは知らねえ」


「けど、哲平と陽菜ちゃんが捕まって……」


「族連中ならまだしも、山川組……ヤクザ率いる半グレたちに、さすがの哲平も歯が立たなくて……」


「かなりボコられて、相当ヤバい状況だったんだ……」


……!


「それで、どうしたの? 二人は?」


「二人は……無事だった」


「 “ 黒パーカーの男 ” が二人を助けたんだ」


——ドクンッ

何故か鼓動が高くなった。


「……黒パーカーの、男?」


「うん。哲平でも歯が立たなかった奴らをさ、黒パーカーの男はあっさりひねり潰したんだって」


「だいぶ小柄な男だったって言ってたけど、細い腕から繰り出される攻撃はそれはもう人間業じゃなかったって」


「防御も完璧で、ナイフが飛んでもモノともしなかったって話だ」


「……へえ……」


胸に迫るモワモワ感……

なんだろう、なにか心に引っかかる……


「それが二ヶ月くらい前のあの事件」
「……6月下旬の事だったかな……」


……二ヶ月前……


……6月下旬……


……なんだ、これ。

思い出しそうで思い出せない、不快感に襲われる。