SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


なにげに、この霊感という言葉は便利だと思う。

つい何か口走ってしまっても、“ 霊感だ ” とさえ言えば、みんな納得してくれる。


「でも、なんで?」


気になって、あたしはみんなに聞いてみた。


「岩男すごくイライラしてた。前と態度、気持ち、違ってる?」


「「……あ〜……」」


「確かに、前はもうちょっと穏やかだったかな」


「女嫌いは変わんねーけど、あそこまで陽菜ちゃんを毛嫌いしてはなかった」


「……きらい?」


「もちろん陽菜さんが悪い訳じゃないんスよ」


「最初はみんな陽菜ちゃんに癒されてたし、幹部たちなんて岩男以外みんな恋しちゃってたからね」


「あの儚げ〜なトコが男に守ってやりたいって思わせるんだろな。最終的に陽菜ちゃんは哲平を選んだんだけどさ……」


「……?」


……恋?


「……けど、二人がくっついたあたりから、族同士のなわばり争いが激しくなって……」


「陽菜ちゃんがターゲットにされる事が多くなったんだ……」


「まさに扇龍最大の弱点になったって訳」


少年たちの顔が曇る。

言いずらそうに声を潜めた……


「……弱点?」


「もちろん、売られたケンカに扇龍が負けるはずないけどさ」


「それでも、けっこうヤバイ時はたくさんあって……」


「毎日毎日ケンカケンカ……怪我で入院する奴もいる」


「族は複数あったのにさ。なのに扇龍ばっかり標的にされて……」


「特にあの事件以降、覇鬼の猛攻ひどくて」


「……?」


「岩男、誰か入院するたんび、かばいきれなかったっつって自分責めんだ」


「岩男のせえじゃねーのに。あいつ責任感じてさ」


「やり切れねえ思いが岩男を苛立たせてんだよな。最近の陽菜ちゃんへの態度がキツイのもそのせいだ……」


「悪いのは覇鬼なんだ。でも……」


「正直、オレらもいっぱいいっぱいで……」


「岩男の言う事にも一理あるかなって。やっぱどっかで陽菜ちゃん負担になってきてんのも事実で……」


どんよりと、重い空気に包まれた。