SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「視えちゃうのはもちろん! さっきの岩さんとのバトル!」

「度胸がまじハンパないっすね! どんだけメンタル強いんスか!」


興奮気味に二人は喋った。


「メンタル? ……強い?」


「だって普通あんだけ言われたら……」
「女の子なら泣いちゃいます……」


「……そうなの?」


「……そうっス……」
「げんに陽菜さんは……」


キツネくんが言葉をにごす。


「……あ〜、」


……そうか。

あたしは窓から見える奏太の自宅に目をやった。

さっき、あたしと岩男のやり取りを陽菜は遠くで見守っていた。

その時の岩男の言葉に、陽菜はだいぶ傷付いたらしい。


あたしが怒鳴られたはずなのに、何故か陽菜が落ち込んで、足早に家へと戻って行った。

今は哲平と家に二人きり、何か話し合っている……



「……でも、美空ちゃん。 岩男の事、誤解しないで欲しいんだ」


高校生たちがまざってくる。


「岩男、女子にはあんなんだけど、仲間を思う気持ちは人一倍強いっていうか……」

「オレらが喧嘩でやられそうになると、いつも体張って助けてくれんだ」

「確かに今日は美空ちゃんに酷い態度だったと思うけど、でも、」


「わかってる」


あたしは少年たちを見上げて言った。


「岩男は悪いやつじゃない。態度、言葉は怒ってる。でも、心はドキドキビクビクだ」


「「「……??」」」


「岩男、不器用。ホントの本音が言えないやつだ」


「……えっと……」
「なんでそんな……」
「岩男の事が分かるの……?」


……あ。


「霊感だ」


「「おお〜!」」
「「なるほど〜!」」


少年たちが納得する。

あたしはホッと息をついた。