SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



————そして、夜。


「奏太。行くなら北がいい。南はだめだ」


「……何故だ」


「霊感だ。南はイヤな予感がする」


「……はあ? ……ったく、」


呆れながらも奏太は少し考える。


「……まあいい。おまえ、オレがいない間、おかしな真似するんじゃねえぞ」

「そうだぞ? ちゃんとおとなしく待ってろよ?」


そう言って、奏太とテルたち幹部が出かけて行く。


「じゃね、美空ちゃん!」
「また話聞かせてね〜!」


さっきまであたしを取り囲み、霊の事をあれこれ聞いてきた大勢も一緒にゾロゾロ出て行った。

なんでも、夜はバイクで走りに行くらしい。

残ったのはあたしと留守番係の中学生、高校生合わせて20人くらい。


「……ねえ、あんなに大勢でバイク、迷惑じゃない? うるさくないのかな」


中学生たちに聞いてみる。


「……え? ……あっと、」
「そう言われましても……」
「オレら暴走族ですし……」


「暴走族は、暴走するの?」


「えと、ただ暴走してる訳じゃなくて……」

「ナワバリ走って、他の族たちをけん制したりしてるんス 」


どこか緊張した顔で少年たちはあたしに答えた。


「……ふうん」


よく分からないけど、暴走族はバイクに乗るのが好きらしい。

すると、


「「美空さんっ!」」


バタバタとキツネくんが駆け寄ってきた。


「これっ!」
「飲んで下さい!」


桃のジュースを差し出してくる。


「総長が水分たくさん摂らせろって!」
「仰せつかっておりますデス!」


どこか使命感に燃えた瞳、


「……ありがとう」


あたしはそれを受け取った。



「「……それにしても……」」


「……うん?」


「美空さんやっぱすごいっス!」
「いろんな意味でヤバいっス!」


「……?」