SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……は?」
「なんだそりゃ? ビーバーか?」


「全然ちがう。もっと小さくて、ネズミっぽい……」


「……もしかして、ハムスター?」


ためらいながらアオが言った。


「……っ!!」


「そう、ハムスターだ。岩男のそれ、飼ってるやつ……」


——ザワ!


「……飼ってる?」
「……岩男が……?」

「……ハムスターを?」
「……パインちゃん……」


変な空気がアジトに流れた。



「……っ、 ……ハンッ! おまえやっぱウソつきだな! そんなんオレが飼う訳ねーし……!」


岩男はあくまでシラを切る。


「あ〜あ、とんだ茶番だな。おいお前らっ! こいつ信用すんじゃ——」

「——死にかけてる!」


あたしはスパッとそう言った。


「……っ⁉︎」


「パインちゃん、さっき砂、食べた。灰色の固まるやつの砂、おなかにギュッて詰まってる」


「……っ……」


「……だいぶ苦しんでる。早くなんとかしないと…………手遅れ」


「……っっ……!!」


岩男の顔色が悪くなる。

ゴツゴツした肉と肉の間から大量の汗が噴き出した。


「……おい……」
「……岩男……」


……少しの沈黙、


……その直後——、



「パイイィィ————ンッッ!!」

……ガンッゴン! ズドドドドドド!!


地面を揺らし、岩男は一目散に走って行った。



「「「「…………」」」」


——フッ!

あたしは透視能力のスイッチを切る。


「……なんだ今の……」
「つーか、マジか……」

「噂はホントだったって事?」
「霊能者スゲ——ッ!」

「ただモンじゃねえとは思ってたが、おめえスゲえな……」


アジトにはいろんな声が飛び交った。