「どいつもこいつも胸クソわりいッ! 一体お前ら何してる! 幹部っつーのはただ女を守るのだけが仕事かッ!!」
巨体から発せられる怒鳴り声。
その迫力にアジト中が一瞬ひるんだ。
「「……岩男……」」
「冗談じゃねえッ! みんなまとめて、統率すんのがお前らの仕事じゃねえのか! 幹部だったらまずは一番に仲間の事を考えろッ!」
岩男はぐるっと視線を動かす。
「「「「…………」」」」
周りにいた大勢のメンバーは気まずそうな顔をした。
「……分かってんだよそんな事……」
哲平は顔を歪ませる。
「分かってねえから言ってんだろーがッ!」
「岩男!」
「岩男くんやめて!」
……と、
——ガシッ!
「いい加減にしろ」
奏太が岩男の手を取った。
「……っ!」
奏太の倍以上もある太くて大きい岩男の手がいとも簡単に引き離される。
「……ゴホッ!」
手が離れた哲平は、咳き込みながら後ろへさがった。
「……っ!」
「…………」
今度は岩男と奏太が睨み合う。
空中で止まった二人の手は、小刻みに震えながら少しのあいだ沈黙した……
やがて、
「……ハン!」
岩男がその手を引っこめる。
「なあ、オレの言う事間違ってるかよ」
「…………」
「間違ってるって言うのかよッ!」
——ガアンッ!
やり場のない怒りをぶつけるように、岩男はテーブルを蹴飛ばした。


