SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……でも、龍は黒くなかったよ」


「「……は?」」


「あたしが見たのは、光ってた」


そう言うと、二人はポカンとあたしを見る。

動き出したと思ったら、


「……ああ、夢の話か」

「おう、だよな。コイツの頭ん中、小学生だもんな」


それぞれに、そんな事を口にした。


……もう。

あたし、本当に見たのに。



「夢じゃない。光の龍は、大きくて、透明で、それで……」


「はいはい~、兄ちゃんたちはちゃんと話を聞いてるぞ~? ……で、その光の龍がどうしたって?」


やけに楽しそうにテルが言う。


「……だから——、」


言いかけて、ぐっとあたしは黙り込んだ。


「……ん? どした?」


「…………」


流れ込む不穏な空気に首をかしげる。

……と、すぐに


"ガシャ——ンッ!"


遠くから何か物音と、言い争うような人の声が聞こえてきた。


「「……ハァ、」」


ため息をつき、二人は声の方へと歩いていく。

あたしも後を追いかけた……


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


言い争っていたのは幹部たちだった。

昨日は来ていなかったイワオが、哲平の胸ぐらをつかんでいる。

二人はひどくいがみ合っていた。



「……もう、二人ともやめなよ!」


仲裁するアオと、少し離れた所にハクがいて、ハクの後ろには涙目になった陽菜がオロオロしながら立っていた。


「……ごめんなさい……」


涙声で陽菜が言う。


「陽菜が悪いんじゃねえっ!」


哲平は強い口調で言い放った。


「……っるせーッ!!」


岩男はつかんだその手に力をこめる。