SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

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「おう美空! 今日もイカレてっか!」


しばらくすると、テルが顔をのぞかせた。

ニヤニヤしながらあたしと奏太を眺めてる。



「聞いたぞ! いろいろ大変だったな! 奏太、コイツが……手に負えねえならオレが代わるか?」


途中、吹き出しそうになりながらテルが言う。


「いや、心配ない。今、丁度コツをつかんできた所だ」


「……ん? ……コツ?」


「ああ、どうやらこいつは精神年齢がかなり幼い。オレは今後、こいつを小学校低学年レベルのガキと思う事にする」


「……ほお~?」


感心したようにテルは頷く。


……?

小学校低学年の、ガキ?


「……ちがう。小学生じゃない。あたし、もっといっぱい大人なんだ」


「あ~そうだな」


軽く奏太にあしらわれる。


「ヘッ! 確かに、なるほどな~」


テルはケタケタ笑い出した。


「……さて、」


奏太がゆっくり席を立つ。

部屋の隅まで歩いていくと、つい立て越しに着替えを始めた。


つい立てからハミ出た奏太の体に目がいく。

ほどよく筋肉がついた上半身には、いくつかの古い傷痕が見てとれた。

そして、


「……あ!」


あたしはソレを凝視する。

奏太の背中には黒い大きな絵があった。


「……お? さすがにおめえもビビッたか?」


珍しそうにテルが言う。


「あれが扇龍の総長たる、れっきとしたアカシ……」


……あれは……


「……トカゲ?」


「……っ、なんでだっ! どう見たって龍だろうがっ!」


テルは大きく姿勢を崩した。


「……おまえ……」


聞こえていたのか、奏太が遠目に睨んでる。


「……へえ。 龍、なんだ?」


「おうよ! まさに天かける龍のごとく……扇状に翼広げて龍が空を舞い踊ってんじゃねえか!」


得意気にテルは “ フン ” と鼻をならした。