SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……リンゴとか、ブドウとか……」


「…………」


「……モモとか、オレンジとか……」


「…………」


——グイ、

もう一口飲んでみる。

飲んで、あたしはうつむいた。


「……ああ~、 ……ったく!」


またも奏太が席を立つ。

今度は10分ほどで戻ってくると、いろんなフルーツの飲み物をテーブルの上にバーっと並べた。


「オレをパシリに使うとは」


——カチ、

フタを開け、やれやれと奏太が一本手渡す。


「……リンゴ 」


あたしはそれをクイッと飲んだ。


「奏太、おいしい」


「……ああ」


「奏太、コレもおいしい」


「ああ、良かったな。 ……っておいっ!」


ずっとこっちを見ていた奏太が何かに気付いて声をあげた。


「おまえっ! さっきからチョコばっか食ってんじゃねえかっ!」


「うん。チョコ、好きなんだ」


「好きなもんばっか食ってんじゃねえ! ちゃんと飯を食え! 飯を!」


コンビニおにぎりを渡される。


……?


「これ、どうやって食べるの?」


あけ方が分からず、あたしはそれをぶんぶん振った。


「……は⁉︎ おまえコンビニ飯食った事ねえのかよ」


「……見た事はある」


「……マジか。今どきそんな奴がいるのかよ」


呆れ顔で奏太はおにぎりのフィルムをはがす。


「……ほら、」


あたしはそれを受け取った。


「奏太、コンビニご飯おいしい」


「ああ。オレはもう食い飽きてるけどな」


「ふうん。じゃあ、一緒に食べよう?」


「……だから、」


「……?」


「……いや、おまえはもっといっぱい食っとけ。ちょっと体重軽すぎるぞ」


もう一つおにぎりを渡される。

あたしが食べるのを横目で見ながら、奏太もご飯を食べ始めた。