SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「…………」


気配を消したあたしには、誰も何も気付かない。

みんなアジトの奥の場所、“ 幹部の間 ” へと消えていく。

……と、すぐに奏太が戻ってきた。

ぐるりアジトを見回して、

バチ! とあたしと視線を合わせる。

“ ハア ” と息を吐きながら、あたしの前までやってきた。


「……お前、何を隠れている」


鋭い瞳があたしを見おろす。

周りにいた少年たちがササッとその場を離れていった。


「隠れてない。ずっとここに座ってたけど」


あたしはさらっと奏太に答える。


「……いた、のか?」


奏太の眉間にシワが寄る。

そんな奏太に、あたしは思った事を口にした。


「奏太。あたし気付いた。けっこう得意」


「……何がだ」


「かくれんぼ」


「…………」


「ねえ、お家でかくれんぼ、する?」


「……あ⁉︎」


——ブッ!

誰かが吹き出す。


「……おまえ……」


奏太がジトッとあたしを睨んだ。


「……ったく、お前は子供か! いい年して、オレがそんなものする訳がないだろう!」


……?


「奏太って何才?」


「17……もうすぐ18だ」


「ふうん。じゃあ、鬼ごっこの方がいい?」


「……だからっ! 何故そうなるっ!」


——ブブッ!

またも誰かが吹き出す。

堪えたような笑い声があちこちから聞こえてきた。


「……ハア~、」


脱力したように奏太が隣に腰をおろす。


「……調子狂う……」


頭をガシガシかきながら、ボソッと小さくつぶやいた。