SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「…………」


よく、分からないけど、恩人って……

その言葉にドンと胸が重くなる。

恩人どころか、あたしのせいで扇龍はとばっちりだと思うのに。


「……ちがう」


あたしは思わずこぼしてしまう。


「あたしのせいでみんな迷惑。大変がこれからやってくるんだ」


「「……はい?」」


二人は顔を見合わせる。

すぐに “ ああ~ ” と頷いた。


「スンマセン、はしゃいじゃって……」

「……ですよね。確かに、美空さんにとっては災難スよね……」


目を泳がせ、二人は気まずそうな顔をする。


「でも、安心して下さい! 美空さんには扇龍が付いてるんスから!」

「全然迷惑なんかじゃないっスよ! 美空さんは扇龍の恩人じゃないスか!」


二人は “ フン ” と鼻息を荒くした。


「だから災難なのは——」


——災難なのはみんなの方。

言い切る前にキツネ二人に声がかかる。


「あ! オレら行かなきゃ!」

「すんません! 下っ端はいろいろとやる事があって……」


二人はバタバタ走って行った。


「…………」


相変わらず、うまく言葉も伝えられない。

これじゃあ、さっきの事を話したとしても、混乱させてしまうだけ。

またいろいろ聞かれても面倒だし、

ここはあえて余計な事は言わないで、しばらく様子をみようかな……


……よし。


「やあ、どうなの?」


取り合えず少年の群れに混ざってみる。


「「「……⁉︎」」」

「……ええっと……」
「すげえスッと入ってきますね」


少年たちは拍子抜けした顔をした。