SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



その後は、陽菜と一緒に、道路を挟んですぐの扇龍のアジトへ来ていた。

アジトでは、数人の少年たちがベンチやソファで気持ち良さそうに眠っている。


「みんな夜遅くまで起きてるから、集まって来るのはだいたい午後なの」


陽菜はテーブルの上の空き缶やペットボトルを片付ける。


「いつもヒナが掃除してるの?」


「うん。私に出来る事ってこれぐらいしかないから」


陽菜は手際よくゴミを回収していく。


「美空ちゃんはゆっくりしてて?」


ニコッと微笑み、陽菜は奥へと消えていった。


「…………」


……ヒナ、すごいな。

さっきも思ったけど、あたしは改めてそう思う


陽菜は家でも掃除、洗濯、料理までしていた。

それなのにココに来てまで掃除して……

どれだけ掃除が好きなんだ。

あたしとはまるで正反対。陽菜は家事も料理も完璧だった。


——ポス……


空いてるソファに腰をおろす。

目の前にはソフトクリームのでっかい置物。


……はぁ。

ソワソワするのはたぶん、陽菜に借りたこの白い服のせい。

普段、あたしはけして白とか淡い色の服は着ない。

それは前に、白いワンピースを血で汚した事があるからだ。

"白は血の色が目立つ"

そう刷り込まれたあたしは、黒とかネイビーとか、血の色が目立たない服をあえて着るようにしていた。


「…………」


同じく白いソフトクリームのグルグルを見つめる。


……う~ん。


気になるのはやっぱり"覇鬼"の事。

すぐに襲ってこないのは、たぶん何か企んでるか、それとも扇龍と同じ、朝に弱いだけなのか……


……分からない……


「ヒナ、手伝う」


落ち着かない気持ちを隠すように、あたしもアジトを掃除した。