SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……ん、ああ、」


不思議そうに、哲平は階段をのぼり始める。


「昨日は本当に助かった」


一度振り向き、あたしに言うと、哲平は二階へあがっていった。



「……はあ〜。一人で散歩してたなんて知れたら、また美空ちゃん、奏太に怒鳴られちゃうもんね」


安心したように陽菜が言う。


……?


陽菜の声を聞きながら、あたしはぼんやり、階段の方を見つめていた。


……なんだろう。


昨日から感じるこのモヤモヤ感。

寄り添う二人をあたしはどこかで……



「……美空ちゃん? どうしたの?」


……?

いつの間にか、陽菜があたしの顔をのぞき込んでいる。


「べつに」

「……そう?」


陽菜は首を傾けた。


「……そうだ。あたし、シャワー浴びてくる」


少し汗ばんだのを思い出し、あたしは服を脱ぎ始める。


「おふろ、どこだっけ?」


そのまま長い廊下を歩き進めた。


「……み、美空ちゃんっ! だめだよそんな格好でっ……」

——ガチャ、

トイレからハクが出てくる。


「……アンタ、大胆な女だな……」


無表情でハクはスタスタ歩いていった。



「……美空ちゃん。ここには男の子がいるんだし、あんまり露出しない方がいいと思うよ」


何故か恥ずかしそうに陽菜が言う。


「……あ、」


そうだった。

そういえば湧人にも同じような事を言われていた。


「バスルームはここだよ。着替えは、私のを置いておくね」


そそくさと陽菜はその場を離れていった。