「……悪い、美空……」
しばらくして奏太が口を開く。
「お前には世話になりっぱなしですまないが、やはりこれ以上、お前はオレらと関わるべきじゃない。何も恩を返せないのが心苦しいが、それがお前の為だ……」
目を伏せ、奏太はそう言った。
……またか。
最近よく聞く"関わるな"
「あ、そう」
よく分からないまま、あたしは奏太に返事した。
「……でも良かったよ。キミが奴らに顔を見られてなくてさ」
「それがせめてもの救いだな」
テルたちがのろのろ動き出す。すると、
「……家まで送る」
奏太がボソッとあたしに言った。
「……え、」
「今度はちゃんとオレが送る。着替えてくるから待ってろ」
スタスタと奏太はどこか歩いていった。
「へえ、めずらしいね」
「罪滅ぼしってとこ?」
アオとハクがそんな事を言う。
「あたし、一人で帰れるのに」
「ばーか、おめえネンザしてんだろ。もう夜だし暗えし危ねえぞ。それに……」
テルがそっと耳打ちする。
「アイツ、あん時おめえ殴っちまった事、しばらく気にしてたんだ。素直に送らせてやれよ」
「……?」
……気にしてた?
あたし、べつに、慣れてるのに。
「……行くぞ。歩けるか?」
少しして、着替えてきた奏太があたしの前にやってくる。
「うん。大丈夫」
あたしはヒョコヒョコ歩いてみせる。
歩きにくいけど、全然痛みは感じない。
「奏太、そいつ気をつけてくれ」
「……なんだ?」
「すぐ手ぇ離そうとすんだ。油断してっとまたバイクから転げる」
「あ? ……ああ、」
テルと奏太の会話で、またバイクに乗るのだと気が重くなる。


