……?
いやに空気が張り詰めてる。
重い足取り数人が、ついたての前を過ぎていった。
「……ハァ、」
「……陽菜、お前どうして……」
「……ごめんなさい……」
聞こえてくるのはテルを含む数人の男の声と、さっきの少女、ヒナの声。
「何で黙って出て行った!」
「何いなくなろうとしてんだよっ!」
「……だって私、困らせてる。私のせいでこれ以上、迷惑をかけたくなかったの……」
「……バカやろ……」
「陽菜ちゃん? キミがいなくなる方が、よっぽどみんな迷惑なんだよ?」
「……でもっ、」
「謝るのはオレたちの方だ」
「ごめんな。お前を巻き込んだばっかりに」
「オレたちと関わらなければ……」
「キミを苦しませないで済んだのにね……」
「……ちがう! 私はみんなと出会えて本当に良かったと思ってる! でも、私はいつも足手まといで、守られてばっかりで、情けなくて……」
「守られてろよッ!」
「……哲平?」
「お前の事はこのオレが……! オレが命をかけても守ってやる! だから迷惑とか思うな! もう二度と……二度とオレから離れんじゃねえ!」
「……てっぺ……」
涙声だったヒナの声がますます涙に震えてる。
「……フッ……」
「あとは二人で話し合って……」
——ガタッ
話が終わり、途端に空気が軽くなる。
「……さあ、もう中坊は帰れ!」
「「「「……はいっ!」」」」
声と共に足音がバタバタ遠のいた。
「……奏太、」
「……ああ、」
テルの声に促され、足音がこちらに近付いてくる。
——ガタッ、
「……久しぶり、だな」
見覚えのある顔がジッとあたしを見おろした。
……えっと、
「なんとかかんとか、くん」
「……月島奏太だ。奏太と呼んでくれて構わない 」
「……そうた」
ツヤのないミルクティ色の髪をかきあげ、奏太が出窓の所に腰をおろす。
ソファに座るあたしと向き合った。


