「……み、く……?」


「湧人。忘れてない? あたしの能力」


「……え?」


「あたしのESP。センサー働く。いいか悪いかは分かるんだ」


「……っ、でもっ、」


「……湧人。 ひとつ、お願いがあるんだ」


「……? おね、がい?」


「うん。ちゃんと……見てほしい。いいか、悪いか、自分でちゃんと。 決めるのは、湧人の目で確かめて。 みんな悪い言っても湧人はちゃんと」


あたしは銀の瞳を見つめて言った。


「 ! 」


湧人はハッと息をのむ。


「……みく……」


銀の瞳を左右に揺らし、じっとあたしの顔を見る。


「……っ、」


苦いような顔のあと、


「……わかった」


湧人は静かに頷いた。



「……ごめん。みくの友達、肩書きだけで判断して。これからはみくの言う通りにする」


「……え、」


「ちゃんと自分の目で見て確かめる。どんな人物か、信用できる人間かどうか。だから……」


言葉が止まる……


「悲しそうな顔、しないで……」


切なそうに湧人が言った。


……?


悲しい、顔?


「あたし、悲しい顔、してた?」


「うん、してた。昨日もそうだった。オレ、みくのそんな顔、初めて見たからびっくりして……」


「……ふうん」


あたし、悲しい顔、してたんだ。



「……ごめん。昨日の事も本当に……」


また、湧人が謝ってくる。


「……? なんだっけ?」


「……ほら、好きでも嫌いでもないって言ったこと。 みく、なんか誤解してるから」


「あ~、湧人はあたしが嫌いのさらに嫌いだってこと?」


「ちがうからっ!」


急に湧人が声を強める。


「…………好き、だから……」


視線をスッと横に流し、湧人はあたしにそう言った。