「……ふぅ。間に合った……」
あたしは芝生に座り込む。
すると、
"バタバタバタ……バンッ!!"
「なにっ⁉︎ 今のっ⁉︎」
湧人が慌てて飛び出してきた。
「湧人。ただいま」
「……っ! みくっ! どうしたの! 何があったの! 今の音なに⁉︎」
「……? 送り火だよ」
「……送り火?」
「うん。ご先祖さま、今帰ったとこ」
あたしは残ったバクチクを湧人に見せる。
「……っ、もうっ! 近所迷惑だろっ!」
湧人はすぐにそれを取り上げた。
「……ハア〜、」
そのままヘナヘナとあたしの隣に腰をおろす。
……?
少し湧人の顔色が悪い。
疲れたような表情、銀の瞳が濁ってる。
「……湧人。もしかして、寝てないの?」
「……寝てないっていうか……」
「……?」
「……眠れなかった……」
湧人はボソッとつぶやいた。
「なんで? どうしたの?」
「…………」
「……湧人?」
「……心配した」
「……え?」
「オレ、みくがしるしに呼ばれるの初めて見たし。みくの役目は分かってるんだけど……
今頃、何か大変な目にあってるんじゃないかとか、巻き込まれてるんじゃないかとか、いろいろ考えて、心配で……」
……?
「全然、大丈夫だよ」
「でもっ、」
顔を上げた湧人の言葉が止まる。
「……?」
「……擦りむいてる」
湧人はあたしの腕や足に目をやった。


