「……さあ、これから忙しくなるぞ。なにせ、一から組の指針を練り直さねばならんからのう」
「ああ、そうだな」
揺るぎない強い心。
ピタリと重なった二人の熱い感情があたしの中に流れ込む。
……?
陰のパートナー? よく分からないけど……
……ふうん、そっか……
今度から玉ちゃんたちも一般社会で闘うらしい。
「……んんっ、」
感じとる二人の気持ちが心地よくて、あたしは大きく伸びをする。
窓から見える外の世界……
夜空の向こうはだいぶ明るくなっていた。
「…………」
……もう朝か……
あたしはぼーっと空を見る。
そういえば丸一日、ずっとバタバタしていたな……
ぼーっとぼーっと眺めてる……
……? ……あれ……
何か引っかかった感じがして、ぐるりと視線を泳がせた。
なんだろう、このソワソワしてくる感じ……
……なにか、忘れてる……?
……えっと、
……えっと……
「……あっ!」
ようやくあたしは思い出した。
「なんだ!」
「どうした!」
突然の大声に二人がバッとあたしを見る……
「思い出した! あたし帰らなきゃ! ご先祖さま帰らないと帰れないんだ、だから!」
「……ああん⁉︎」
「……ご先祖さま⁉︎」
「じゃあ行く! 玉ちゃん、若も、また今度!」
困惑する二人を横目にあたしは走る。
湧人の家へと急いで帰った……
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「……ハア〜、着いた……」
朝焼けの広がる空の下、あたしはようやく家に辿り着く……
『おなご! 遅いぞ!』
『全く、いつになったら帰るのかと』
『はようせえ。扉が閉まる』
湧人の家の前には、もうすでにご先祖さまたちが勢ぞろいしてあたしの帰りを待っていた。
「……うん」
あたしはごそごそバッグをあさる。
それの準備に取りかかった。
————お盆の風習。
“ 迎え火 ” でご先祖さまを呼んだら、今度は “ 送り火 ” で、ご先祖さまを送り出す。
迎えた者が送り出す。それがこの家の作法になっていた。
それに、お盆よりも早く呼んだから、ご先祖さまが滞在できる時間もあとわずか。
それを過ぎれば、この世とあの世を繋ぐ扉が閉まるという……
「……あった!」
あたしは花火を見つける。
手に持ち、みんなと向き合った。
『おなご、いろいろ言うたが……』
『すまぬ。かわいさ余っての事じゃ』
『湧人と婆をよろしく頼む』
『またな。達者で暮らせよ』
「うん。ご先祖さまも元気で」
“ シュ!” と花火に火をつける。
——バンッ、バンッ、バンッ!!
ババババババババババッッ!!!!
早朝に鳴り響く爆音、
バクチクの煙と共に、ご先祖さまたちはスウッとあの世へ帰って行った。


