SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

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「医者がもう大丈夫だとよ」


「本当?」


「ああ、さすがボスだ。そう簡単にはクタばらねえ……」


柳と小暮が安堵した表情を見せる。


「……よかった……」


あたしも一安心し、太い柱にもたれかかった。


——あの後、

玉ちゃんはすぐに家の中に運びこまれた。

どうやら家に専用の医務室があるらしく、常駐する医者と、外からも何人か白衣の人が駆けつけて、玉ちゃんのケガを治療した。



「美空、おまえには何て礼を言ったらいいか」

「本当に頭が上がらねえ。デケえ借りが出来ちまったな」


柳と小暮は申し訳なさそうな顔をする。

二人はあたしがジーピー、エス? とかなんとかで、玉ちゃんを見つけ出したと思っている。


「……全然。玉ちゃんが無事でよかった」


庭園の方を見つめながら、あたしはグ~ッと伸びをした。


この広い日本風家屋。

敷地には本宅とか別宅とか、家がいくつか並んでる。

あたしがいるのは本宅の一室。

畳の部屋には整然と家具や小物が並べられ、どこを見てもチリ一つない、完璧な清潔感が漂っていた。


……変なカンジ。


家も人も、家具も小物も、全部が全部カクばっていて全てにおいて隙がない。

部屋という部屋には煌々と明かりが灯され、深夜だというのに、先ほどから人の出入りが絶えなかった。


「……しかし、ホントびっくりだぜ」

「おまえには恐怖心ってモンがねえのか? それとも単に鈍いだけか?」


二人はマジマジとあたしを見る。


「……なにが?」


「なにがって、おまえのやること全部がだ!」
「……っとに、さっきの若との事といい……」


「……?」


「それに、どうすんだアレ?」
「普通持ってくるか? あんなモン……」


二人は暗い庭園に目を向ける。

実は玉ちゃんだけじゃなく、あたしは “ クマ ” も乗せて来ていた。