SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……っ、てめっ……うるせー! なんだぁ? シャブでもやってんのか⁉︎」


お兄さんが身をよじる。

別のお兄さんが掴みかかり、あたしの両手をひねり上げた。


「「どうした!」」


騒ぎを聞きつけ、またも人が集まってくる。


「「「アニキ!」」」


張りつめた緊張感と共に、バッとお兄さんたちがひれ伏した。

やって来たのは貫禄あるイカツイおじさん数十人。その先頭に、


「「……ああっ⁉︎ 美空っ⁉︎」」


……柳と小暮がそこにいた。


「てめえらっ! 美空に何してるっ!」
「おいっ! 早くコイツを放しやがれっ!」


「「「……へ?」」」
「「「……は、はいっ!」」」


柳と小暮は素早くあたしをお兄さんたちから引き離す。

声を潜めてあたしに言った。


「美空! 何でおまえがココにいる⁉︎」
「ココはおまえが来るような場所じゃねえぞ⁉︎」


「だって玉ちゃんが……」


「……あ? ……ボス?」
「美空、ボスなら今いねえ」


「……ったく、おまえもタイミング悪いな。ボスは今朝方、拉致られたんだ……」

「もう、生きてるのか死んでるのかさえ……分からねえ……」


二人は声を震わせる。
潤んだ瞳を隠すように、グッと目頭に手をあてた。


「……だから……」


あたしはそんな二人に言う。


「だからあたし持ってきた! 土の中から玉ちゃん出てきてクマも出てきてガオーッて死にそう!」


まくし立てるように一気に喋った。


「「……はあ??」」


「いいから見て! あれ! あそこ!」


「「……?」」


二人は恐る恐るリヤカーに近づく。


「……ああっ! ボスッ⁉︎」
「ああ⁉︎ ……なんだあ⁉︎⁉︎」


それぞれに素っ頓狂な声を上げた。