SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



“……ガヴルルッ! ……ドガッ!”


怒りに狂ったクマが牙を剥き出しバリアーに体当たりしてくる。

まあ、強度は完璧だからバリアーはビクともしないけど……


——ザッ!

今度はあたしがクマと対峙する。


「……ふぅ、」


軽く息を整えて……


“ ……ウ゛ァオオオーーッ!!”


————ガンッ!!!


勝負は一瞬。

あたしはボディ接着バリアーで、クマの眉間に思いっきりこぶしを打ち込んだ。


"ドッシーーン!!"


クマが倒れる。
そのままピクリとも動かなくなった。


「…………」


……あれ。

もしかして死んじゃった?

クマの体をまさぐってみる。

心臓の音を聞こうとしたけど、心臓がどこにあるのか分からない。


……心臓、ないのかな。


すると、


「……み、く……」


かすれた声が耳に届いた。


「……あ!」


あたしは玉ちゃんに駆け寄る。


「……驚いた。おまえは……強い、な……」


しぼり出すようにそう言って、玉ちゃんは静かに目を閉じた。


「玉ちゃん!」


今度は玉ちゃんの体をまさぐってみる。


……良かった。

こっちはちゃんと心臓あるし、規則正しく動いてる。

気を失ってるだけか……

あたしはホッと胸をなでおろした。


……さて、


「早く帰らなきゃ」


玉ちゃんの体を抱えて歩く。

だけど、力の抜けた体はズシリと重たい。


……どうしよう。


すると、


"……ジジ……"


ESPセンサーが何かを捉える。


……? あれは不法投棄のゴミの山?


……あ、


「あれ使える!」


ゴミの中から“リヤカー” を見つける。

玉ちゃんを乗せ、あたしは急いで山を下りた。