SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「玉ちゃん!」


「……うっ…… 」


玉ちゃんはその場にヒザをつく。

体からは赤い鮮血が滴った……


「美空っ、逃げろっ!」


かばうように玉ちゃんが言う。


"……ガウルルルッ……"


「ワシがおとりになる……その隙に!」


強い殺気で玉ちゃんは目の前のクマと対峙した。


「……そんな、玉ちゃん……」

「はようっ! ……行けえっ!!」


——ウ゛アオオオーーッ!!"


鋭い爪が宙を裂く。


……っ、

あたしは、


「——ハッ!」


とっさにバリアーで防御した。


"バスン!"


クマの巨体がうしろへ倒れる。


……あ。


「……出た 」


"ブ————ン"


長いこと不調だったバリアー。

能力が戻り、あたしは久しぶりにその感覚を確かめる。

強度、大きさ、柔軟性……

バリアーはすごく好調だ。

暗闇の中、それはほんのり光って見えた。


「……っ、……こ、れは……」


玉ちゃんはぐるりと首を動かす。
自分を囲む球体を物珍しそうにじいっと見つめた。


「……ハアッ、……ハアッ、 ……美空、おまえ…… 」


「……あ、」


一瞬、マニュアル其の3"能力を人に見られるな"の項目が頭をかすめる。

でも、


「……ハアッ、……ハァ、」


荒く乱れる玉ちゃんの呼吸、


……玉ちゃん……


マニュアルの言葉は消えていた。

今はとにかく早く山を下りないと……

玉ちゃんの体力が持たない……!