SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……う~ん。外はパリッとしてて、中はやわらかい」


「……あん?」


「中の中はすごく熱い。でも、覚えたらまた会いたくなる」


「…………」


「……あ、あれに似てる! たこ焼き!」


「……たこ、焼き?」


「うん。昨日、湧人と買い物行った時食べたんだ。それがすごくおいしくて、また食べたいと思った」


「…………」


「また食べたい。また会いたい。なんか似てる。玉ちゃんと一緒!」


「 一緒って、 ……ブハハッ! 美空、おまえはやっぱり変わっとるのう」


噴き出すように玉ちゃんは笑った。



「……さあて……」


しばらくして、玉ちゃんは辺りを見回す。


「だいぶ暗くなってきたな。急ぐか」


玉ちゃんが言うようにもう辺りは薄暗い。


「うん」


あたしたちは足を早めた……


——ザッ、ザッ、ザッ……


しばらく歩く。


——ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……


ひたすら歩く……


「「…………」」


ピタッと同じタイミングであたしと玉ちゃんは足を止めた。


“……ザワザワ……ホウ~……”


風が変わり、さっきまでとは違う空気が流れこむ。

不気味な感覚がスウッと体を駆けめぐった。


……見られてる。


あたしのESPがその気配を感知する。

暗闇に潜む何者かの息づかい。

荒々しく、猛々しい、血に飢えた……


————ウ゛ァオオオーーッ!!!


「「 ! 」」


現れたのはすごく大きなクマだった。


——ザシュッ!

鋭い爪が玉ちゃんの右半身を傷付ける。