SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……しかし、分からん……」


しわがれた声。


「美空よ、何故この場所が分かったのだ?」


「あ~、」


あたしはごそごそバッグをあさる。


「はい、玉ちゃん」


水の入ったペットボトルを差し出した。


「のどかわいたでしょ? 飲んで」


「……お、……おう、すまんな……」


玉ちゃんはゴクゴク水を飲み干した。

良かった、バッグにいろいろ入ってて。

あたしは再びバッグをゴソゴソあさる。

“アロエ軟膏” なるものを取り出して、玉ちゃんの傷口に塗りこんだ。


「玉ちゃん、早く帰ろう?」


もうすっかり夕方になっていた。
辺りがオレンジ色に染まってる……


「……おお、」


フラつく玉ちゃんの体を支え、あたしはゆっくり歩き出した。



「玉ちゃん、あんな所で何してたの? 柳と小暮は? 一緒じゃなかったの?」


帰り道。

あたしは軟膏まみれで肌が緑色になった玉ちゃんに聞いてみる。


「……んん。 ……ああ、」


玉ちゃんは少し言葉を濁す。