SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「「…………」」


お婆ちゃんはキョトン。

湧人は何とも言えない顔をする。

そこへ、


"ブー、ブー、"

ポケットの中の電話のやつが振動する。


……あ。

あたしはその場を離れた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「……? もしもし?」


電話の相手は四角顔の友達の玉ちゃんだった。
玉ちゃんがあたしに電話をかけてくるのは珍しい。

……でも、


「もしもし? 玉ちゃん?」


"……ザザ、 ……ザザ……"


『……ん、……ああ……』


なにか様子がおかしい。

耳障りな雑音、電話の声がやけに遠い。


「玉ちゃん? どうしたの?」


『…………』

——プツ!

電話が切れ、“ジワ!”としるしが反応する。


「玉ちゃん!」


頭に浮かぶ景色、あたしは瞬間移動を——


……あ。 すぐにしるしが消えてしまった。

まだしるしの力は使えない……そこへ、


「みく!」


バタバタと湧人がこっちに走ってきた。


「みくオレ!」
「湧人! しるしが!」


「……っ、……は⁉︎ しるし?」


「玉ちゃんが! あたし行かなきゃ!」


「えっ⁉︎ 行くってどこに⁉︎」


「分からない。あっちのどっか、山奥!」


「……ちょっ、待ってみく!」


「明日の約束、明け方には帰るってご先祖さまに!」


バックを手に、あたしは急いで走った。