SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……ちょっ……なにっ⁉︎ どういうこと⁉︎ めおとってっ……いつからそんな話になってるわけっ⁉︎」


動揺しながら湧人が言う。


「分からない。そもそも、めおとってなに? どうしてそんなにびっくりしてるの?」


あたしは首を傾けた。



「……どうしてって……びっくりするに決まってるだろ⁉︎ めおとっていうのは、つまり……」


"ザワザワザワザワ!"


……あ。

また声が飛んでくる。


「湧人は一体どっちなのだ?」


聞こえたまんまを湧人に言った。


「……は? ……なにが?」


「ご先祖さま、湧人はあたしのこと好きか嫌いか、どっちなのかって言ってる」


「……っ!」


「湧人? あたしのこと好き? 嫌い? どっち?」


あたしは湧人の顔をのぞき込んだ。


「……っ、 ……なっ、」


湧人はパッと顔を赤らめる。

すぐにあたしから顔をそむけた。



「……湧人?」


「……っ、……もうっ! 別に好きでも嫌いでもないしっ! ……っていうか、めおととか、なんで勝手に決めてるわけ⁉︎ 昔じゃあるまいし、オレにだってちゃんと選ぶ権利があるっていうか……!」


アワアワしながら湧人が答える。

そこへ、


「……な~んじゃ……」


お婆ちゃんが肩を落として入ってきた。


……あ。
 

「お婆ちゃん、起きて大丈夫?」


「もう大丈夫だよお~。みーちゃんのおかげですっかり良ぐなったがらぁ~」


お婆ちゃんはにこっと微笑む。


「それよりぃ〜、」


「……?」


「婆ちゃんガッカリしちまったぁ〜。二人の話、ずうっと聞こえでだんだげっども〜。まさか湧人がみーちゃんのこと嫌いだなんて思ってねがったがらあ〜……」


そう言うと大きなため息を吐き出した。