SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「あのっ! なにか勘違いしてませんか! みくはこの家のメイドじゃない! ヘルパーじゃない! 女中じゃない! 奉公人とか家来とか召し使いでもない! だからみくにいろいろ言うのはやめて下さいっ!」


……ピンと空気が張り詰める。


『……ワシらは別に……』
『おなごを召し使いなどと……』
『すべては皆の為にと……』


ご先祖さまはシュンとした。


「……あ~、湧人、」


あたしは間に割って入る。


「ちがう。ご先祖さま、召し使いとは思ってないって」


ご先祖さまの言葉を伝えた。


「……じゃあ、なに? 何でみくにいろいろ言うわけ?」

「あ~、」


"ザワザワザワ"

あたしはご先祖さまの声を聞きとる。



「……えっと、ご先祖さまが言うには、それは……」


「それは?」


「それは、あたしと湧人がめおとになるため。花嫁修行だって、言ってる」


「……っ! はあっ⁉︎」


湧人はザザッと後ろへ下がる。
目を見開き、驚いた顔であたしを見つめた。


「湧人? めおとってなに? 花嫁修行って?」


「…………」


「……湧人?」


何故か湧人が固まってる。


「……湧人? どうしたの?」


すると、ビクッと体を上下に揺らし、


"ハア~ッ!"


湧人は空気のカタマリを吐き出した。