「…………」
あたしはついさっきの事を思い出す。
只ならぬ者を吹き飛ばしたあの後、湧人は実にテキパキと動いた。
体調がおかしかったあたしを店内のフードコートに連れて行き、甘いのかしょっぱいのかよく分からない飲み物をのませ、
買い物がまだだと言ったら、メモを手に “ ないのは代用品で ” と一人でさっさと買い物を済ませた。
バックがないと言ったら、また一人でどこか行き、すぐにあたしのバックを持ってきたのだ。
……なんだろう、
……なんていうか……
うまく言い表せないけど、なんかすごく気持ちが高まっている。
安心するっていうか、なんていうか、
こんなにすごくしっかりしてるのに、まだ小学生だということが本当に信じられない。
さっきの事といい、あたしは湧人から目が離せなくなってしまった。
「……どうしたの?」
あたしの視線に気付いた湧人が不思議そうな顔をする。
「あ~、うん。だって湧人がすごいから」
「……すごい?」
「さっき、本当にびっくりした。只ならぬ者の倒れてくるの四角い壁のがあたし変で動けなくてだめだと思ったけど一瞬だった。壁くずれて飛んでも大丈夫で湧人が来たからバラバラになって湧人のおかげだ」
思い出すと早口になる。
まくし立てるようにあたしは、
《 四角い壁の只ならぬ者が倒れてきて、あたし動けなくてだめだと思ったけど、湧人が来たから壁が一瞬で崩れてバラバラに飛んだ。湧人のおかげで大丈夫だった 》
……と、説明した。
「…………」
湧人は黙って空を見上げる。
……あ。
さすがに今のは湧人でも——
「へぇ、そうだったんだ。じゃあ迎えに来て正解だったね。良かった。みくが壁の下敷きにならなくて」
湧人は“ハア~” とため息をついた。
……うん。
いつも通り、ちゃんと話が通じてる。
……そう、いつも通り……
「…………」
「……みく?」
黙り込んだあたしに湧人は首を傾ける。
「湧人? ひとつ、聞いていい?」
あたしは気になっていた事を切り出した。


