SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


……ああ、だめだ、体に力が入らない……


————つぶされる……


……と、


「みく?」


"ガラア! ……フシャン!!"


一瞬で壁が崩れ落ち、粉々になった影がどこか遠くに吹き飛んだ。


「……⁉︎」


びっくりして、ボヤけてた視界がハッキリする。


「すごく遅いから迎えに来た。こんな所で何やってるの? どうしたの? 何かあった?」


……あ。

湧人がそこに立っていた。


「……みく?」


……そうだ。

湧人は霊とか人の念を跳ね返す体質。


「……湧人。 すごい……」


あたしは湧人のすごい力を目の当たりにした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「……へぇ、只ならぬ者か。そんなのもいるんだ?」

「うん」


帰り道。

あたしは、さっきの透と薫の出来事を湧人に話していた。


「あたしみたいか、波長低いとやられる。薫、気になって、ずっと見てたら暑くて、グラグラになって……」


「もう〜、こんな暑いなか立ってたら具合悪くもなるよ。本当にもう大丈夫?」


「うん。さっきの、飲んだら治った」


「そう。良かった」


白い買い物袋をさげた湧人が、あたしを気にしながら歩いてる。


「……あ! そういえば湧人は? まだ元気じゃない。出歩いていいの?」


「オレはもう平気。シャワー浴びてスッキリしたら治った」


「……本当?」


あたしは銀の瞳をのぞき込む。


……う~ん?

さっきよりは濁ってないけど、

透明でも、ないような……


「……もう元気だから!」


目をそらし、湧人は急に足を速めた。


「……そう、」


あたしは湧人の斜め後ろを歩く。

湧人はあたしに日陰を歩かせた。