SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



……しまった。

ぼーっとしすぎて全然コイツに気付かなかった。


"ギュウウウ~ン!"


百本以上はありそうな足があたしの体に絡みつく。


——ズン!

「……っ、」

ドロドロの大きな頭が肩に乗り、重くて地面にヒザをついた。


……もう。 だから面倒なんだ。


あたしはスウ〜ッと大きく息を吸い、


——フウウウ〜!


おなかに手をあて、細く長く息を吐く……


意識を高めながら、同時にESPを起動して……


球体に包まれるイメージで、周りにシールドを張り巡らせる……


「…………」


タイミングを見計らい、


「……ンッ!」


瞬間的に気を高め、タコを念で吹き飛ばした。


“……ボロ……”


バラバラになるタコ。

只ならぬ者になる前の小さな影に戻っていく……


……よし。


あとはコレを一つ一つ消していく。

恨み辛み、悲しみ苦しみ、それぞれの声を聞き、タチが悪いのは両手で叩いてつぶしていく。


「……ハァ、」


ただでさえ疲れるこの作業。

あたしはなんだかグッタリだ。

呼吸は妙にハカハカするし、視界は白くぼやけてる。耳もなんだか聞こえづらい……


……あれ、

もしかして、これが熱中症?

あたしはその場にしゃがみ込む。


"ブン! ブン! ……ブン!"


シールドが緩み、影が再びくっつきだした。


「……あ、」


"ガガガガガ!"


いつの間にか、影は四角い “ 壁 ” へと姿を変えた。

黒い巨大な石の壁があたしの前に立ちはだかる。


"……グラアッ!!"


突如、壁があたしの上に倒れてきた。