SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



"……ブロロロ……"


気温より高い熱風。
車の排気が足もとに流れる……

あの後、すぐに叔母さんが迎えに来ていた。


「……じゃあ、またな」

「うん、また」

あたしは二人を見送る。


"……ブオオ~ン……"


遠ざかる車。

強い日差しに目を細めながら、あたしは小さくなる薫の後頭部を見つめていた。


「…………」


……う〜ん……


あたしは気になっていた。

さっきの薫の様子が。

そして薫の言動が。


“ 只ならぬ者 ” に狙われるなんて……


霊ぐらい、視える人はたくさんいる。

けど、あの “ 只ならぬ者 ” まで視えるとなるとそれは限定されてくる。

あたしのようなESP能力者か、あるいは


——心の波長が低い者。


元気がない、自信がない、いじけていたり、ひがんでいたり……

気持ちが極端に後ろ向きだと “ 只ならぬ者 ” を引き寄せる。


……薫。 なにか悩んでたのかな。

悲しそうな薫の顔があたしの頭に貼りついている……


「…………」


考えながら、しばらくそこに立ち尽くす……

ぼーっとぼーっと立ち尽くす……


……あ、


しばらくして、やっと視線を動かした。

ジリジリと照りつける太陽、

空気は重くジメッとしてる。


……あつい……


目がかすみ、一瞬、頭がグラッとなった。



……あれ。

そもそも、あたし、何しに来たっけ。


……えっと……


変に頭がボーッとする。


「……そうだ! 買い物!」


思い出し、ようやくあたしは動きだす。


"ニュロロ————ン!!"


「……⁉︎」


振り向いた目と鼻の先、

今度はタコのような “ 只ならぬ者 ” がそこにいた。