SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

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「透。 妹いたんだ?」


「ああ、薫(かおる)だ。 親父から聞いてなかったか?」


「……うん」


さっきの花売り場前のベンチ。

透を挟んで両脇にあたしと薫が座ってる。


「…………」


あたしは横目で薫を見る。

年はあたしの一つ下。黒い長めのショートヘア。

キリッとした目元とシャープなアゴのライン、背の高いスラッとした体形が、少女にクールな印象を持たせている。



「……薫、大丈夫か?」


——コクン。

薫は無言で頷くだけ。

さっき、生気を吸い取られたせいでだいぶ具合が悪そうだ。

あの後、透はすぐに電話した。同居している叔母さんが車で迎えに来るらしい。


「ありがとな」


「……?」


「薫、助けてくれて」


「あ~、うん」


「どうしたもんかって思ってたんだ。オレには霊感ねーし。薫が辛そうにしてても、実際なんもできねえしよ」


「……そう、」


"キャハハハッ!"


大きな笑い声。
仲の良さそうな親子が目の前を通り過ぎる。

ふわり、花の香りが漂った。


「……しっかし、おまえにも霊感があったとはな 」


頭のうしろで手を組んで、透はググッと背をのばす。


「……うん、」


霊感、というよりESP。
あたしはぐっと言葉をのみ込む……

透はあたしがD.S.Pをクビになったと思ってる。
口実が崩れるから、加齢停止能力以外は言わないよう、あたしは口止めされていた。



「……数珠、いいのか? もらっちまって。おまえは平気なのか?」


「うん。あたしはトレーニング、受けてたし」


「……ああ、そういえばそうか! おまえ元D.S.Pだもんな。そういうの、いろいろ教わったのか?」


「……まあ、」


「なるほど」


透はうなずいた。