SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……でも、あんなのは初めてだった。まるで死神みたい……逃げても逃げても追いかけて来て……でも、どうして? あんなとんでもないのに襲われて、どうしてあたし助かったの?」


「……ん?」


透の瞼がピクッと動く。


「……お兄ちゃん?」


「…………」


考えるように視線を泳がせ、透はあたしの方を見た。


「……おまえ、さぁ、」


探るように口を開く……


「おまえ……そもそも、なんでオレをここに連れてきたんだ?」


「……あ~、」


「……まさか何か察知して……もしかして視えるのか? おまえにも、幽霊が……」


「……あ〜、 ……うん、」


少しためらいながら、あたしはコクンと頷いた。


「……っ、」


驚いたような透の顔。
同じような表情で少女もあたしを見つめてる。


「……何か、したのか?」


そのままの表情で透はあたしに聞いてきた。


「……え?」


「さっき……おまえがその死神に」


「あ〜、死神じゃない。でも、」


あたしは二人のそばに行く。


「これで、殴った」


黒水晶の数珠を見せた。


「……? それは?」


「黒水晶。霊にとってもよく効くんだ」


そのまま、少女の手首にそれをつける。


「あげる」


「……え? でも、」


「いいから」


「……どう、も……」


少し戸惑いながら少女はそれを受け取った。