……あ~、もう!
「じゃあ来て!」
「……は?」
「こっち、早く!」
あたしは透を連れて駆け出した。
——ダダダダダ……
従業員用の自転車置き場。
「……つーか……ハァ、おまえどんだけ走らせんだよ……ハァ、」
「……っ!」
あたしはハッと息をのんだ。
"……グオオ~ン……!"
先ほどの少女がすでに捕えられてしまっている。
“ 只ならぬ者 ” から伸びるたくさんの触手が少女の体に巻きついていた。
「……おい! 一体何がどうしたって言うんだ! ちゃんと説明し……は⁉︎」
透は前方にいる少女を見るなり眉を寄せる。
「……薫? おい薫! どうした!」
ただならぬ様子に透は声をこわばらせた。
……かおる? 透の知り合いか……
少女は目をうつろに無表情でそこにたたずんでいる。
その光景は異様だ。
つま先立ちした姿は、立っているというよりはむしろ “ 吊るされている ” 状態で、時々、肩や腕がビクンビクンと跳ね上がる。
……っ、
生気が吸い取られている……
「薫っ!」
透が駆け寄り急いで影から少女を引き離した。
その存在が見えなくても、透は何か察知し、警戒しているようだった。


