SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


……あ~、もう!


「じゃあ来て!」


「……は?」


「こっち、早く!」


あたしは透を連れて駆け出した。


——ダダダダダ……


従業員用の自転車置き場。


「……つーか……ハァ、おまえどんだけ走らせんだよ……ハァ、」

「……っ!」


あたしはハッと息をのんだ。


"……グオオ~ン……!"


先ほどの少女がすでに捕えられてしまっている。

“ 只ならぬ者 ” から伸びるたくさんの触手が少女の体に巻きついていた。


「……おい! 一体何がどうしたって言うんだ! ちゃんと説明し……は⁉︎」


透は前方にいる少女を見るなり眉を寄せる。


「……薫? おい薫! どうした!」


ただならぬ様子に透は声をこわばらせた。


……かおる? 透の知り合いか……


少女は目をうつろに無表情でそこにたたずんでいる。

その光景は異様だ。

つま先立ちした姿は、立っているというよりはむしろ “ 吊るされている ” 状態で、時々、肩や腕がビクンビクンと跳ね上がる。


……っ、

生気が吸い取られている……


「薫っ!」


透が駆け寄り急いで影から少女を引き離した。

その存在が見えなくても、透は何か察知し、警戒しているようだった。