SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

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「ねえ、法則って?」


あたしは、カレーとカップラーメンを同時に食べる黒木に聞く。


「まあ~、まずは食え! ユリから聞いたゾ? ミクは最近、お菓子に目覚めたらし~じゃねえか~?」


そう言って黒木は、さっきコンビニで買ってきたお菓子の袋を次々開けた。


「……あ、」


チョコを見つけて一つ食べる。


「ウマいか?」

「……うん 」


黒木の笑顔に思わずうなづく。

だけどチョコはイマイチだ。

中にドロッとしたのが入ってる。


「ヨッシャ〜食え食え!」

「……うん、」


そうして、しばらくお食事タイムが続き、


「……ふぅ~、」


食べ終わった黒木が“ヨイショ” とゆっくり腰をあげる。


——ガラガラ……

隣の会議室から白いボードを引っぱってきた。



「エエ~、ではコレからぁ、ミクについてオレなりに独自研究して分かった事を発表しま~ス!」


得意気な顔で黒木はあたしに語り出した。



「まずぅ~、ミクの今日の反応はマイナスだったよな。んでえ、先月はプラス。先々月もプラス、その前がマイナス……」


黒木はホワイトボードに字を書き込んでゆく。


「……で、その時のミクの状態はど~だったか、つ~コトなのだよ」


「……状態?」


「オウ! ミクは今、バリアーが不調でESPが好調だろ? 先月は逆で、ESPが不調でバリアーが好調だった。その前も同じ。その前はどっちも好調だったな……」


メモを見ながら、確認するように、それもボードに書き込んでゆく……


「 ン~、好調だったヤツだけ書いていくとぉ~ 」


"今日→マイナス"

の横に“ESP”の文字が足される。同じように黒木はペンを走らせた。