「……ミク?」
「……よく覚えてないんだけど、あたし一樹にひどいこと、言った気がする……」
あたしは頭を巡らせる。
……あの時、
テレパスってだけで、一樹が敵に思えた。
怒りと憎しみがパーンと弾けて、
一樹が、カイドウに見えたのだ……
「あたし、一樹になに言った?」
「……なにって、別に……」
「なに、言ったの?」
「……ん〜、 ……あ~、 まあ……大きらい? 人殺し? ……殺すとか、なんとか?」
顔を引きつらせ、黒木は視線を泳がせた。
「……っ! 最低だ、あたし……」
思わずグンニャリうつむいてしまう……
「……ンなことねえよ、」
黒木はあたしの手をとった。
「カイドウに対しての言葉だってのは一樹もすぐに気付いただろーし。第一、感情が戻った時の反動のスゴさは、あいつも十分わかってるしな!」
「……でも、一樹、何も言わないで帰った。怒ったか、悲しませたか……」
「ソレはぁ~、ミクを気遣ったダケ! せっかく落ちついたのに、自分の存在がまた波風立てるかもってヨオ~ 」
「……え?」
……そんな、 いつき……
「あいつ、ミクの事よく考えてンだな。……でもまあ、オレには到底かなわね~だろうが? 法則に気付いたのもオレの方が先だしぃ~!」
……?
「……法則?」
「オ~ウ♪ だから今日は現場からすっ飛んで来たんだぜぇ~?」
「……なに?」
「フッフ~ン♪」
丸めた手をアゴにあて、黒木はニッとポーズを決めた。


