「……つーコトはだ。オレらがやる事はただ一つ…… 」
「 おうよ 」
「 一人残らず借りは……返すっ!」
——ガンッ!
「 オラオラッ!」
"ザガッ……バキ! ガッ! ドスッ!"
もうすっかり日が暮れていた。
点滅するぼやけた街灯のあかりが、殴り合う人影たちをうつしだす。
「来いやっ! オラッ!」
“ザシュ! ザシュ! バギ! ドゴッ!”
……へえ。
テルも強いけど、あいつ、もっと強いな。
あたしは、あいまみれる影たちを物陰からじーっと見つめていた。
40対2のはずなのに、テルともう一人がどんどん敵の数を減らしていく。
いつの間にか20対2……
そして10対2……
あと少しで全滅という時、
"……ワンッ!"
それまで静かだったモコちゃんが急にあたしの腕から飛び出した。
"ワンワンワンッ!"
「 モコちゃん!」
あたしはモコちゃんを追いかける。
「……あ?」
間の抜けたテルの声がした直後、
——ドゴッ!
強烈な蹴りがあたしの背中を直撃した。
間髪入れず首元をつかまれ、今度は拳が宙を切る。
「奏太やめろっ! そいつは——」
「——っ⁉︎」
テルの声にハッとなるも、繰り出した拳はもう止まらない。
——ゴッ!
寸前で躊躇した拳は軌道を変え、あたしの耳の下あたりを殴りつけた。
「……美空っ!」
……ああ、
……脳が揺れる……
あたしは知ってる。
頬を殴られるより、こっちの方がはるかに急所だってこと。
「……っ! ……女っ⁉︎」
……やっぱりこいつ、強い……
動揺する男の気配を感じながら、あたしは意識を失った……


