SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



……はあ、

ボディ接着バリアーが使えれば、こんな壁、簡単にぶち破れるのに。


"……ガンッ! ……ガアンッ!"


「……ふぅ~、」


息が切れる。

普段のあたしは、けして怪力なんかじゃない。

まあ、トレーニングは受けていたから、普通の女の子よりは体力あるけど……

でも、こんな暑い室内で、重いナタなんか振り回して、なんだか頭がクラクラする。


「……ハアッ、 ……ふう〜、」


すると、


「 貸せよ 」


テルがあたしからナタを奪い、思いっきり壁に打ち付けた。


"……ガギーンッ! ……べゴッ!!"


たった一回打ち付けただけで、刃先が外へ貫通する。

それを数回繰り返し、


「……オラッ!!」

“……ガゴンッ!!”


テルが蹴りを入れると、人が出入り出来るぐらいの細長い穴がバックリあいた。


「 テル、すごいね 」

「 おうよ!」

"ワンッ!"


壁をすり抜け、あたしたちは外へ出る……



「……なんつーか、世話んなったな 」


「ううん。テル、早く顔、人間になるといいね」


「……おめえケンカ売ってんのかよ 」


「……?」


「……へっ。まあいーや。気ぃつけて帰れよ」


「 うん。じゃあ 」


テルが背を向け、あたしもそこから歩きだす。

……と、


"ガシャーンッ!!"


工場の出入り口の方から何やらすごい音がした。


"……ブオン! ブオンッ!"

"ウ゛オオオン……キキッ!"

「「「 ギャハハハハッ! 」」」


「やっべ。あいつら戻ってきやがった 」


テルがバッと身をかがめる。



「 ハッハッハッ~! 扇龍は情に厚いってか~? まさかヘッドが身代わりを申し出るとはなぁ~?」


その言葉にテルの表情がこわばった。


"……ガン!……バキッ!"


鈍い音……


「 美空。おめえは早く帰れ 」


低い声を出し、テルは壁伝いに声のする方へと歩いていった。