SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……テル?」


「…………」


テルは顔を引きつらせながら、身動き一つしない……


「……テル? おーい!」

"ワンワンワンッ!"

モコちゃんがテルのアゴをペロンとなめて、やっとテルがまばたきした。


「……って、おおいっ!! 何してくれてんだコラッ!!」


テルがあたしの襟元をつかむ。

すると、


「 ! 」


思い出したようにテルは自分の両手を確認した。

わっかは付いたままだけど、自由に両手は動いてる。


「……はぁ~、」


力が抜けたようにヘナヘナと、テルは額の汗を手でぬぐう。


「……なんて女だ…… 」


ボソッとあたしにつぶやいた。


……?


「 天使 美空だよ 」


小窓を見上げながらあたしは言う。

もうすぐ日が暮れる……

空はだいぶ暗くなっていた。


"ワンワンッ!"

「……ハァ。オラ、美空! 台にでも何でもなってやるからおめえはもう行け!」


「 テルも行こう?」


「 ばーか。あんなトコ、オレのでけえ体が通る訳ねーだろ!」


「 ふ~ん、そうか 」


あたしはまたナタを持って移動する。


"……ガアンッ!!"


おもいっきりナタを振り回し、それを壁に打ち付けた。


「……何やってんだ、おめえ…… 」


テルがうわずった声を出す。


「 ここ、頑丈なの入り口だけなんだよね 」


「……ああ?」


「 さっき登って来た時、壁がメコメコってなったんだ 」

"ガアンッ!"

あたしはもう一度ナタを打ち付ける。

すると、


——ボロ……


壁に少し、亀裂が入った。