あたしは坊主に近づいてみる。
……あれ、
坊主は顔じゅうアザだらけで、片目がボコッと腫れていた。
「……外人? てめえ、覇鬼の女か 」
もう片方の細い目を三角に吊り上げ、坊主があたしを睨みつける。
……?
あたしは坊主の前にしゃがみこんだ。
「……顔、どうしたの?」
「……あ?」
「 ボコボコだよ?」
「 あ゛? だから何だよ 」
「……べつに 」
「…………」
坊主は威嚇したまま視線をそらさない。
「 あ~。お昼寝、起こしちゃってごめん。モコちゃん探しに来たんだ 」
「……モコ、ちゃん?」
「 ほら、この犬 」
"ワンッ!"
あたしはモコちゃんを坊主に見せる。
「……てめえ、覇鬼の女じゃねーのか 」
「……ばき? なにそれ 」
「…………」
坊主は不審そうにあたしとモコちゃんを交互に見る。
そのうち、
「……へっ、奴らの女が一人で来る訳ねーか」
やっと坊主は視線をはずした。
「 わざわざ犬探しに来たってか? こんなトコに 」
「 モコちゃんだよ 」
"ワンッ!"
「 モコちゃんだか何だか知らねーけど? 一体おめえ、どっから入ってきたよ?」
「 あ~。あの窓だよ 」
あたしは小窓を指差した。


