SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



"……ジジジジ……"


目と目の間の、第3の目が覚醒する。


"ESP探査"


これはあたしがもっとも得意とするESP。

この能力を使えば探したい人物、動物、建物などを感知する事が出来る。

バリアーが不調の中、さいわいESPだけは好調だった。


「……こっちか 」


意識を集中させながら、あたしはモコちゃんの足取りをたどった。


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……ここ?

赤サビの目立つ、廃工場の前にあたしは立っていた。

あたしのESPは、モコちゃんがこの中にいると示している。

でも、出入り口の分厚い引き戸の扉には、レバー部分に固く鎖が巻かれ、南京錠がしてある。


……ここを開けるのはムリ。


あたしは工場の裏手にまわってみる。

すると、あたしの身長よりずっと高い位置に小さな窓を発見した。


……よし、


転がっていたドラム缶を起こし足場を作る。

それにのぼり、背伸びをして、やっと窓に手が届く。


「……よい、しょ……」


よじ登り、小さな窓に体をねじ込み、壁を一回転しながら、あたしは廃工場の中へと入った。


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——チャリ……


中はサビた鉄のにおいと機械油のにおいがしていた。

歩くたびにネジのようなものが足にあたる。


"……ジジジジ……"


あたしは薄暗い中を探査する。

すると、


「……う、ん…… 」


柱の陰から小さな声……


……?

見ると誰かが座ったまま柱にもたれ、坊主頭をダランと下にさげていた。


……こんな所でお昼寝?


起こさないようにあたしはそっと探査を続ける。


……あ、

しばらくして、ホコリをかぶった作業台の下で寝ていたモコちゃんを発見した。


「……モコ、ちゃん?」

 “ ワン!”

モコちゃんは人懐こいのか、すぐにあたしのとこに来る。


"ワンワンワンワンッ!"


しっぽを振って顔のあたりをなめられた。


……良かった……


これで今回のしるしの役目も終了だ。

あたしはモコちゃんを抱き上げる。

すると、


「……だれだ 」


警戒するような声が届く。

……?

昼寝していた、さきほどの人物がふっと顔を上げていた。