……いつもそう。

一樹はけして疲れた顔を見せない。


「……たいしたこと、あるよ。 一樹、すごく疲れてる……」


幸い、今あたしのESPは絶好調だ。

一樹が弱ってることぐらい、すぐにセンサーが感知した。


「 わたしは大丈夫ですよ 」


あたしの頭をポンポンとして、一樹はまた何でもないように微笑む。

その笑顔に、あたしはなんだか胸を縛られたような気がした。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


それから、透と一樹も一緒に、あたしはみんなと晩ごはんを食べた。

晩ごはんといっても全部デリバリーだったけど。

黒木は大好きなビールを浴びるように飲み、透にしつこく絡んでて、

ユリは透をかばうように、酔っ払った黒木を怒鳴り、説教し……

一樹はそんなユリをなだめていた。



「……じゃあ、オレ帰ります 」


騒がしい時間が過ぎ、黒木の相手に疲れた様子の透がスッと席を立つ。


「 透くん、いろいろごめんねえ? また遊びに来てね?」


ユリの言葉に、透は軽く会釈をする。


「 じゃあ、また 」


あたしと軽く目を合わせ、透は家に帰って行った。


「もう~本当にイイ子よね~透くんって 」


うっとりしながらユリが言う。


「美空、誠さんの事は気にしなくていいのよ? 透くんの事、本当はどうなの?」


「……どうって?」


「 どう思ってるの? 透くんの事、好きじゃないの?」


……? ……好き?


「 よく、わからない。 ……透は、変だ 」


「もう~、変はナイでしょお~ 」


ユリは残念そうに唇をとがらせた。