「……だから仕方なくだよ! オレはコイツの保護者に頼まれてるだけ! 別に好きで一緒に帰ってる訳じゃねーし、それに、」


「「「 それに? 」」」


みんなが声がきれいに合わさる。



「オレが好きなのは……純日本人だ。こいつは、ちがうだろ 」


「「「 へええ~!! 」」」


パアッとみんなの顔が明るくなった。


「……ほら帰るぞ!」


少し目を泳がせて、透があたしの腕をひく。

そのまま逃げるように教室を出た。


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——帰り道。

何故か透がイライラしてる。


「……透?」

「 なんだよ 」

ほら、やっぱり不機嫌だ。


「 もう送り迎え、しなくていいよ 」


"別に好きで一緒に帰ってる訳じゃない"

さっきの言葉を思い出して、あたしは透にそう言った。


「……なんでだよ 」


透はさらに不機嫌になる。


……?


「 だってさっき、仕方なくって。透、怒ってるし。それに、あたし一人で大丈夫だし 」


「…………」


「だからもうーー」
「真に受けんなよ」


前を向いたまま透が言う。


「……え? 」


「さっきの、オレの言った事。あんま真に受けんな 」


「……?」


「怒ってるとしたら、オレ自身にだ。 ……ったく、まさかこんなにあまのじゃくだったとはな…… 」


透はガシガシと困ったように頭をかいた。