「……もう! オレの事はいいだろ! 人より色素が薄いの! それより、ちゃんと聞いてる⁉︎ 人の話!」


……あ、れ、

だんだん状況がのみ込めてくる。


「 湧人。 今、何時?」


「……だから、もう! ……13時過ぎだけど?」


……しまった。

学校、休んでしまった。


「 ねえ! ちゃんと質問に答えてってば!」


湧人が真剣な目を向ける中……


——ゾク!

突然、並々ならぬ不快感とともに、尋常じゃない悪寒があたしを襲う。


……うう、


……寒い……


体が小刻みに震え出す。


「……なに? どうしたの?」


異変に気付いたのか湧人が顔を近づける。


……あたしは、


——ガバ!

まるで獲物を射止めるように、湧人の体に抱きついた。


「……っ! ちょっ! なにしてるのっ⁉︎」


湧人がわたわたと焦りだす。


「……さ、さむい……」


ぶるぶる震えながら、あたしはぎゅうっとしがみつく。

前に手をにぎった時もそうだったけど、湧人の体はあたしよりも温かかった。


「……え⁉︎ ちょっと大丈夫⁉︎ 風邪でもひいた⁉︎」


「 ゴホッ、めまい。気持ち、わるい……」


「……えっ⁉︎」


「……うう、湧人……さむい、ゴホッ!」


「 ちょっ、……とにかく、こっち。来て! 歩ける⁉︎」


オロオロしながら湧人が手を引いて歩きだす。

あたしはふらふらになりながら、湧人の肩を借りて坂を上り、家の中へと入っていった。


「 婆ちゃん! 大変なんだ! 友達が庭で倒れて!」


大きな声で湧人が叫ぶ。すると、


「 あんれ、まあ!」


奥の座敷でお茶を飲んでいた、ふくよかなお婆ちゃんが駆け寄って来た。