……ああ、


……またその表情……


まるで色を奪うかのように、寂しさの影が少年の体を包んでる。


「…………」


あたしは、何故か無性に、むずむずして……


なんだか、とっても、たまらなくなって……



「——しょ、少年っ!!」
「……!  ……わっ!!」


少年に、タックルした。


「 ちょっ、なんなのいきなりっ!」


バランスを崩し、尻もちをつく少年。

あたしも地面にひざをついた。


「 吹き飛ばしてやった 」


……寂しさの影を。


「 はあ? おねーさん頭大丈夫⁉︎」


動揺する少年。

でも、あたしは

まだ、むずむずして……


「 少年っ!!」


前のめりになり、少年の両手をがっちりつかんだ。


「……こっ、今度はなにっ!」


焦る少年……

あたしはズイッと顔を近付けた。


「……っ!」


固まる少年……

あたしは少年に、なにか言いたいような、むず痒い気持ちになった。

……でも、

なにも言葉が、出てこなくて……


「…………」


曇った気持ちのまま立ち上がる。


なんだろう、この、モヤモヤした感じは。


あたしには、わからない……


「……帰る 」


何故か気持ちが沈んでいた。

日が陰っているせいかもしれない。

そうだ、もうすぐ日が沈むし。だからあたしの気持ちも沈むんだ。

そう片付けて、

あたしは少年に背を向ける。

……が、


「 あたしの家、どこ?」


重要な事を思い出した。