SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし



「……え? ……お父さん? お母さん?」


スッと涙が止まる。

二人は目をつり上げて、あたしの事を睨んでいる。


『 万里、おまえはなんて悪い子なんだ!』

『 そうよ、いつもいつも面倒かけて!』


二人は冷たく言葉を投げた。

すごく、怒ってる……


「……あ。お父さん、お母さん。ごめんなさい……」


『 謝ったってもう遅い! 万里、おまえのせいだぞ! おまえのせいでお父さんたちは捕まってしまうんだ!』


「……え?」


『 万里のせいよ。万里が、悪い子だから…… 』


怒った顔を崩してお母さんが泣き出す。
つられてお父さんも肩を震わせて泣き出した。


「……どういう、こと?」


あたしが熱を出したから?

心配かけたから?

あたしは、悪い子……?