SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

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あたしは、普段からよく熱を出す方だった。

だけど、この日は深夜に、いつもよりうんと高い熱が出た。

苦しくて、苦しくて、

お父さんはすごく心配そうな顔。

お母さんは落ちついていて、


「 万里、大丈夫よ 」

ずっと耳元で囁いてた。



看護士さんは優しかった。

でもお医者さんは機嫌が悪そう……

ひょろっとした男の先生。

あたしは何故かこの人が怖いと思った。

よく分からないけど、

変に胸がドキドキして……


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点滴が打たれて、


「 終わるまで寝てなさい 」

お母さんが言った。


「 わかった。おやすみなさい。タクくん、みんな、おばあちゃんも、おやすみなさい 」


お父さん、お母さん、看護士さんが不思議そうな顔をする。