どこのバンドもレベルが高かった。
私たちとは全然違う、レベルの低さがよく分かる。
余計にプレッシャーがかかってしまった。
胃がキリキリして 吐き気に襲われた。
私は一旦会場から抜け出し 外へ出た。

「はぁ......。」

「おい......愛唯?愛唯じゃねーか。」

いきなり男の人のが私の名前をあげた。
どっかで声を聞いたことがあるような......。
私は顔を見上げた。
同学年だろうか。茶髪にそめた地味にチャラい人が目の前に......。 こんな人と知り合いだったけ。

「ほら、海人だよ。覚えてねーのかよ。」

「......海人?海人......んーっては?!」

私の幼なじみの菅原 海人。
幼稚園のときに転校してしまいそれっきり連絡もとってなかった。
そのせいか 存在すら忘れていた。

「な、なんで海人がここにおる?!?!」

「今日LIVEでるから来てるんだよ。愛唯こそなんで...。まさか、お前もLIVEに?! 」

「そうだよ......。」

「は、愛唯軽音部だったのかよ?!あんなに大人しかったのにどうしたんだよ!」

そんなにびっくりすることないじゃない。
返事に困っていると

「てかさ。愛唯、LIVE終わったら空いてる?久々だし一緒帰ろーや。」

「え?いいよ。」

「そっか。ならあそこの公園で待ってろよ。あ、俺もう行くわ。じゃっ、LIVE頑張れよな!」

「うん、海人も。」

あんなとこでばったり合うなんて......。
そういえばどこのバンドなんだろう。聞くの忘れた......。

「愛唯ちゃんー!ここにいたのね!もうそろそろ出番だから準備ね。」

「あ、ごめん、すぐ行く。」