慎吾…その名前を聞いた途端、一気に寒気が襲う。


「 怖い…っ、怖いよ…!! 」


携帯から伝わる翠の震えた声。
シーンと静まり返る夜風が恐怖を物語る。



「 翠、そこから動かないで!すぐに行くから!……今すぐ、翠の所へ。急いで 」


「 かしこまりました 」


運転手に伝えると家から少し離れた所にある、明るいライトが照らすベンチに1人座っている翠。


彼女の肩を抱いてゆっくり車に乗せる


車内では一言も言葉を交わすことはなかった。そして、あたしの家に着くとすぐに部屋に向かった。


「 …家に着いたら、門の前に人が立ってたの。よく見たら…慎吾で、あたしに気づいて近づいて来たから咄嗟に走って逃げたんだけど… 」


ベッドの上に座り、話し始める。