「 綺帆、乗りなさい 」 母の言葉に驚きつつ、 " カラオケはまた今度♪ " と口パクで言う翠に頷いて、母の車に乗り込んだ。 車内では一言も喋ることなく自宅に着くとそのまま応接間の部屋へ入る。 お互いが座って数秒間 沈黙が続く。 でもその雰囲気を破ったのは母だった。 「 綺帆、まずお礼を言うわ。本当にありがとう… 」 何のことかわからず首を傾( かし )げていると、母は嬉しそうに話し出した。 「 あなたの父親と会ったの。病院に来てくれたのよ 」 おじさん…… 行ってくれたんだ…!